伊東宣明「アート」 番外編その113
APMoA Project, ARCH vol.13
伊東宣明「アート ᾹTO」
愛知県美術館 展示室6
平成27年2月3日(火)~平成27年4月5日(日)
アーティスト・トーク(作家による展示説明会)
平成27年2月22日(日) 14:00~15:30
APMoAプロジェクト・アーチとは、愛知県美術館の学芸員と作家との協同によって作られる展覧会です。
このプロジェクトが作家の表現活動をサポートし、作家、美術館、鑑賞者の架け橋となることができれば、という思いを込め、ARCH(アーチ)と名付けました。
このプロジェクトが作家の表現活動をサポートし、作家、美術館、鑑賞者の架け橋となることができれば、という思いを込め、ARCH(アーチ)と名付けました。
出展作品《アート》は、伊東宣明(いとう のぶあき)が日本各地で自分自身の姿を撮影し、それを繋げて作った動画の作品です。次々と場所を変えながらカメラに向かって語り続ける伊東の姿は、SNSにアップされる自撮り写真(selfie)や、YOUTUBEなどに投稿されるアマチュア動画、ポップ・ミュージシャンのプロモーション・ビデオを彷彿とさせます。
一方、動画の中で伊東が語るのは「アートとは何か」という極めて本質的な問題です。「アートの本質」については、これまで多くの議論が重ねられてきました。しかし、伊東のたたみかけるような口調は、「アート」に関する深い考察より、その問題に囚われた人間のおかしさや妄信性を浮かび上がらせます。
インターネット上で膨張する承認欲求と、近代的な芸術観。それらをアーティストである自分自身の体に引き受け、表現へと変えてみせる伊東の待望の新作です。
アーティスト・トークがあるということで、参加してきました。
参加者は15名ほどでしょうか。
プロジェクターを使用して、伊東宣明さんからのお話。
スクリーンには『「アート」をより深く知ってもらうために』というタイトルが。
過去作のダイジェスト。
「身体」、「生/死」、「精神」がテーマ。
自分の身体を通すということ、またそのサイクル。
葬儀社に勤めた経験。
あるいは行動の模倣。
その無作為と作為には差があるように見えるのか、という問い掛け。
今回の作品は「精神」を扱うという位置付けとのこと。
過去作を知ることで、今回の「アート」という作品もまた違って見える。
「アート」で語っていることは、作家の本心なのか。
真面目なのか、それともパロディなのか。
肯定的に捉えればいいのか、それともただニヤリとしてればいいのか。
「アート」の試作映像。
思いついたままの言葉。
安定しないカメラワーク。
それが言葉を磨いて磨いて、テキストが完成すると実にチカラ強い。
学芸員の中村史子さんの功績大。
伊東宣明さん自身のキャラの魅力も、映像作品として大きいなぁ。
丸顔のボウズ頭。
その時発している言葉に合わせた、丸顔越しの背景。
「私を見て」、「私を見て」、「私を見て」、「私を見て」
叫んだり、冷静に話しかけたり。
「エックス」、「エーックス」、「エーックス」、「エーックス」
自分自身が「X」になるが、姿はボンヤリ、そして消えてしまう。
これ面白いです。
10分ほどの作品なので、気楽に楽しめます。
座学の後は、解説付きで「アート」の鑑賞。
裏話付きで実に良かった。
愛知県名古屋市東区東桜1丁目13-2