『花開くコリア・アニメーション2014』 番外編その72
『花開くコリア・アニメーション2014』
名古屋会場
愛知芸術文化センター 12階 アートスペースEF
平成26年5月31日(土)~6月1日(日)
鑑賞 平成26年6月1日(日) 14:30~
5月下旬から続く30℃超えの日々。
第17回文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門の大賞を受賞した「はちみつ色のユン」が、名古屋初上映。
(ちなみに第16回の大賞は大友克洋「火用鎮」)
東京、大阪、名古屋と3会場で開催。
「はちみつ色のユン」は名古屋のみの特別上映。
名古屋は1日3プログラムで、2日間。
「はちみつ色のユン」配給、オフィスH(あっしゅ)代表の伊藤裕美さんのトークがある会へ。
お客さんは40人ほど。
韓流から韓国に興味を持ち、見に来たのであろう奥様方も多い感じ。
<ストーリー>
異文化と出会う 他人と生きる 家族になる
異文化と出会う 他人と生きる 家族になる
1960年代から70年代、朝鮮戦争後の韓国では20万人を超える子どもが養子として祖国を後にした。
その中の一人、ユンは、ベルギーのある一家 に「家族」として迎えられた。
髪の毛、肌の色が異なる両親、そして4人の兄妹 、カテリーン、セドリック、コラリー、ゲール。
髪の毛、肌の色が異なる両親、そして4人の兄妹 、カテリーン、セドリック、コラリー、ゲール。
生まれて初めてお腹一杯ごはんを食べ、おもちゃを持ち、路上生活や孤児院を忘れることが出来たユン。
フランス語を覚え、韓国語を忘れ、絵を描くことで実母の幻影と会話しつつ、外見の違いを気にしない新しい家族と暮らす日々。
そして、画才に目覚めていく。
彼の第二の人生が始まった。
そんな時、「家族」にもう一人、韓国からの養女・ヴァレリーがやってくる。
そんな時、「家族」にもう一人、韓国からの養女・ヴァレリーがやってくる。
彼女を見たとき、彼は自分が何者なのか、を意識し始めた―。
1970年当時の、ベルギーに養子として迎えられた際の8ミリフィルムの映像。
CGによる3Dアニメーション、心象シーンでは手描き。
そして40歳を過ぎ訪れた現代のソウルの実写。
非常にうまく組み合わされ、映像の差異を感じさせない。
柔らかな色。
強い光ではなく、黄色が主体のような世界。
抑えられたナレーション。
フランス語のセリフの訳も上品な印象。
朝鮮戦争後、多くの孤児が欧米に里子に出されていたという事実。
国際養子という馴染みのない言葉。
アイデンティティークライシスに陥る青年。
常に他者からの愛を確認せずにはいられない。
自分の居場所が分からなくなり家を出るユン。
自分の体を痛めつけ、衰弱し育ての親の所へ戻る。
自分が母親を求めていたように、養母もまた子を求めていたことを知る。
ラストのモノローグが秀逸。
「僕の一部は西洋人、一部は東洋人。僕はヨーロッパ人だし、アジア人。白人でも、黒人でもない」
「僕の肌の色は、はちみつ色」
悲しいというか、自分ではどうしようもない現実。
それはユンの空想の母親も同じ。
そして「肌の色は、はちみつ色」と表現するところに救われた気がしました。
じんわりと来ました。
パンフレット(500円)
上映後は、1時間程のトーク。
「はちみつ色のユン」配給・オフィスH(あっしゅ)代表の伊藤裕美さん。
「花開くコリア・アニメーション」主催・シネマコリア代表の西村嘉夫さん。
伊藤さんからは、仏の映画祭で偶然すれ違ったユンさんに声を掛けたことから始まったというエピソード。
バンド・デシネ(フランス・ベルギー地域のマンガ)という文化。
日本の映画界は、もっと海外との合作を進めるべきという意見など。
西村さんは、上手に伊藤さん質問をぶつけ、話しを引き出していたという印象。
現在の韓国の映画の状況、アニメーションの現状などを加える。
4か国(フランス・ベルギー・スイス・韓国)合作の「はちみつ色のユン」らしい、各国の現状などが興味深く聞けた。
充実した1時間でした。